会長が旅した国々のエピソードを毎月連載していきます。

<前書き>
 昭和14年から平成7年まで、56年間、商人として塗料、FRPを取扱って来た記録である。今年古希を迎えたので、今迄に書いた原稿を整理して自費出版する事にした。(中略)「あなたは人生で何をやったのか?」と質問されれば「日本のFRP漁船の普及に努力した」と言える人生であった。
 67回の海外旅行で多くの事を学び、又沢山の経費も使って、此の本の原稿が出来た事になる。業界の人達に少しでも参考になれば幸甚である。

 中国ではセメント船の建造隻数が世界で一番多い。1985年発行の「中国水泥船画冊」と言う本によると、中国のセメント船は1958年から建造を開始したとある。
 中国はご承知の通り、揚子江周辺は池、沼、湖、運河等が多く、そこで使われる船としてセメント船が非常に多い。数年前中国の造船業者に聞いた折りの話では、江蘇省だけで10萬隻位あるだろうと言われた。
 全国の隻数は統計がなくて不明であるとの事であった。船の種類としては農業用船、交通運輸船、工作船、漁船等に分けられる。
 「中国水泥船画冊」によると、コンクリート船は丈夫で耐久性があり、材料の入手が簡単、錆びない、虫が食わない、価格が安い、修理が簡単と書いてある。成程長所は我々も納得出来るが、重いとは書いてない。船の種類と大きさは200種類以上あると書いてある。其のため設計建造基準。標準設計。を作製して試験研究と改良を経て現在に至るとある。成型法もハンドレアップと機械成型がある。
 此の本は上海船舶運輸科学研究所。九江コンクリート船試験所。九江コンクリート工程船舶設計研究所の合作である。
 本の説明を翻訳転載します。


工作船舶
 
中国のコンクリート工作船は、1962年から試作、生産し、船体の長さ、数量、船の種類、使用範囲等は年々増えて来た。
 コンクリート浮浅橋船の長さは16mから100mまで、コンクリート浮船渠の本体の長さは153m、排水量は28000屯にも達した。
 其の他には水ポンプ船、サルベージ船、杭打ち船、泥取り船、川の石を取る船、浚渫船水上給水工場、ポンツン等。使用範囲も内陸川から沿海まで発展してきた。
 現在この種類の船舶の隻数は千隻近い。構造は鉄筋コンクリートと金網入りコンクリートの2種類がある。
 実際使用した結果、コンクリート工作船は、材料入手が簡単で船価が安く丈夫で、安定性が良いそして耐食性が強い、耐用年数が長い、維持が簡単、修理費用が安い、鉄鋼を節約出来る等の利点があるので、船主と船員の間には人気があり、発展の浮来性があると書いてある。

漁船及び他の船舶
 
コンクリート漁船は、淡水養殖船、海水養殖船、漁船、魚を買い集め船、魚の運搬船、工作船等40近くの種類がある。
 近年来、船の研究、構造の設計、建造技術等は良くなって来た。実際建造した船は、各地でコンクリートと木材混合した構造、コンクリートにFRPを併用した構造等の新しい船も出て来た。
 コンクリート船は独自の利点があるので、各地で給水船、航路標識船、交通誘導船等の専用コンクリート船と水上浮動構造物を造って、良い経済効果を収めた。浮来国民経済の発展に連れて、コンクリート船の使用範囲も更に広がるだろう。


農用船舶
 
農用船舶は水路密集地域の農業生産に重要な役割を果たしている。農産物及び肥料等の輸送の為に1961年から江蘇、上海等の地域に金網入り農船を造り始め、試験と使用を経て急速に普及した。
 1966年まで江蘇、上海、浙江、広東、湖北、福建、安徴等の省が次々と造船所を作り、大量生産に踏み切った。現在20近くの省、市、自治区がコンクリート農船を生産している。
 ある地域にはコンクリート農船は既に殆どが木造農船に取って代わり、農業生産に非常に重要な生産と輸送の目的を達している。
 船の種類は0.5屯の船、1〜15屯の人力農船、4〜10馬力の動力農業運搬船(中には船外機、ピッチが調節出来るプロペラとジェツト推進機等がある)、10〜60馬力の農業多用途船、排水潅漑船、浚渫船、脱?船、引き船、アンモニア水運搬船等の100品種がある。

運輸船舶
 
ワイヤー網入りコンクリート運搬船の主な製品は艀船(液体の艀も含む)、タッグボート(押し船も含む)、貨物船(動力貨物船も含む)、客船、交通船及びフェリー(車輪を載せるフェリーも含む)など。その中には内陸川の船の種類と数量が一番多い。
 此の種類の船は殆ど全国に分布している。コンクリートで運輸船舶を造るのは技術面が割合複雑で、経験を積むために、我々は大きなコンクリート船を試作した。
 例えば3000屯の沿海貨物船(1320馬力)の揚子江タッグボート、500人を載せる揚子江客船等。
 これらの経験によると、40m以下の沿海と内陸川用の、小型金網入りコンクリート運搬船の方が技術の信頼性があり、経済的にも安く、地方と民間の水運事業の発展に役立った。福建省にある300屯の沿海コンクリート貨物船が既に安全運航17年、船体は全然修理する必要はなく、コンクリート船の独特の優越性を表した。

筆者の意見
 最近は新しく建造するコンクリート船は減少しつつあり、問題はコンクリート船が沈んだ場合取り除く事が困難で、川や運河で他の船の通交を妨げる原因となっている。
 又船体重量が重い為、操船に難点もあり燃料費も高くなる。コンクリート船は価格が非常に安い為、中国で急速に普及し船の数では世界で一番隻数がある。中国は内水面が多く波が無い為、コンクリート船が使用可能な場所が非常に多い。
 クレーン船、浮桟橋等は重い方が安定性が良いと言う事もある。又スピードを要求しないのでコンクリートが適していると言える。日本は四面海で波が荒く、又船のスピードを要求するのでコンクリート船は適さない。
 中国のコンクリート船が急速に普及した原因は鋼材と木材不足も影響したものと思う。今後はFRP船が普及するであろうが、価格差が大変大きいので急速に普及することは難しいと思われる。




竹内 寅栄

大正14年1月 香川県にて生まれる。
昭和23年   竹内塗料店独立創業。
昭和36年に東南アジアに初の海外旅行。

それ以降、観光、FRP事業関連の技術指導、狩猟、釣りなどの目的で毎年のように旅行をしている。
そして、旅行の度に写真をたくさん撮影し、原稿にまとめてきた。この文章や写真もそれぞれの原稿を集大成したものである。